HEART HEART
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No.797■マルチドラマ 2003 winter
投稿時間:2003/03/27(Thu)
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久しぶりにまた、マルチドラマを書いてみようと思いました。今回書こうと思った理由は、湖賀郁巳(by高校教師)と中村秀雄(by僕の生きる道)の2人を共存させてみたかったから。。です。(笑)
No.798■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 1
投稿時間:2003/03/27(Thu)
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「ようこそ怨みの門へ」突然話しかけてくるイズコ。

「あなたは。。誰?」と現在の状況が把握できていない湖賀郁巳。

「怨みの門番イズコ。ここは、若くして亡くなった人が来るところなの。あなたは3つの行き先のうち、1つを選択することができる。
1つ。死を受け入れて天国へ行き、再生の準備をする。
2つ。死を受け入れずに霊となって、現世を彷徨う。
そして3つ。現世の人間を誰か1人自分と同じ理由で殺す。」

「僕は。。死んだんですか?なぜ?」

「何も覚えてないのね。それなら自分で確かめて見るといいわ」

イズコは郁巳の目を覗き出す。。。
No.799■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 2
投稿時間:2003/03/27(Thu)
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場所は日向女子高等学校。

「あなたは余命一年です」と宣告された生物教師の中村秀雄は、残された1年をどのように過ごしていたら良いのか、悩んでいた。僕の気持ちなんて、誰にもわかってもらえない!とヤケになり、周りの職員に八つ当たりし、「時間がない、時間がない」が口癖になっていた。

ある日、放課後の職員室で、生徒の進路のことで、調べ物をしていると、数学教師の湖賀郁巳が話し掛けてきた。

「時間がない、時間がないって。。中村先生、どうしてそんなに急いでるんですか?なんかもうすぐいなくなってしまうみたいじゃないですか。もしかして学校をやめようとか思ってませんよね?」

「いや、、別に思ってませんけど」と答える秀雄。

「ま、僕もいつまでいられるかはわからないけど。。」

「そうなんですか。。」と、言いつつ、無関心な秀雄。

「。。僕、もうすぐ死ぬんだ」

「え?」

「。。なんてね。」

「ちょっと待ってください、そういうことを冗談でも言うのはやめてください!」と怒りだす秀雄。

「え。。」と、普段秀雄が怒ったところを見たことがなかった郁巳は驚く。

「死ぬなんてことを軽々しく口にして欲しくないんです!本当にあと1年しか生きられないとか言われたら、あなたどう思うんですか!」と秀雄は怒り出す。

「余命1年か。。悪くないな。。」

「ふざけないでください!!」

「本気ですよ。余命半年だって宣告された人間にとっては、1年は2倍もあるんだな〜と思ってさ。」と郁巳は笑う。

「そんなたとえ話出してこられても。。」

「僕がそうだって言ったら?」

「え。。?」

そこへ秀雄のクラスの生徒が入って来る。

「先生、早く合唱の練習しましょうよー」

「生徒が呼んでますよ。じゃ、中村先生、また。。」と郁巳は帰ってしまう。

郁巳との会話が気になっている秀雄。

(冗談。。だ。。湖賀先生があまり冗談を言う人じゃないからちょっと驚いたけど。。僕がムキになって怒ったから、言っただけ。。に決まってる。。)

と自分に言い聞かせつつも、湖賀のことがとっても気になってしまう秀雄だった。
No.800■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 3
投稿時間:2003/03/27(Thu)
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場所は JBC 報道局。

「編集会議始めるわよ」と今日も張り切っている鷹宮真。

「鷹宮さん!ちょっと面白い話を聞いたんですけど。。」と話を遮る永瀬洋海。

「何かしら?」

「医者が自分の患者を殺されたとして、訴訟を起こしたそうです。」

「訴えた相手は誰?」

「その患者っていうのが、女子高の教師らしくて、その生徒だって話です。そしてその生徒は教師と恋愛関係にあったとか。。」

「面白そうね。調べてみましょう。その学校と生徒の周辺、すぐ取材行って。」

JBC のスタッフは取材に出かける。。
No.801■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 4
投稿時間:2003/03/27(Thu)
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「ここが女子高か〜。いや〜いいっすね〜、女子高生!」とノリノリの洋海。

そこへ1人の生徒が通りかかる。

「あ、ちょっと君。。この学校で教師と恋愛してる生徒っているかな?」と洋海は早速聞き込みを始める。

「雛のこと。。?町田雛?」と曖昧に答える生徒。

「その子、、かな?(そういえば名前聞いてなかった)彼女今どこにいるかわかるかな?」

「さ〜?最近学校来てないしね。私、特に仲がいいわけでもないし。。」とちょっと無関心そうな生徒。

「そっか。。じゃぁ、その町田、、雛ちゃん?と仲の良いお友達って、誰か教えてくれないかな〜?」

「紅子と仲いいみたいだけど。。工藤紅子。でも彼女も最近学校来てないしね。。なんかホストクラブに入り浸ってるって話だし」

「高校生がホストクラブか〜。時代は変わりましたね〜、鷹宮さんっ」

「のんきなこと言ってないで、そのホストクラブってどこなの!?」とじれったそうに言う真。

「クラブJとか言ってましたけど。。」

「クラブJ、、と。。(メモる)ありがとう〜。ねー。今度合コンしない〜!?」

無視して去って行く生徒。

「行くわよ」と真。

2人はクラブJへ向かう。。
No.802■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 5
投稿時間:2003/03/27(Thu)
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「ここですか〜。そのホストクラブっていうのは。。」と洋海が珍しそうに眺める。

「とにかく入りましょう。あなたはここで待ってて。私はあくまでも客として行くから。」といつのまにか客として行くことを決めた真。

「客としてって、、お前はいつもそうやって勝手に!!」といつのまにかタメ口で話し出すが、気づくと置いて行かれている洋海。

「初めてなんだけど、、いいかしら?」とあくまでも客を装う真。

「どうぞどうぞ、いらっしゃいませ。初回は3000円ポッキリですから」

店内に入り、高校生らしい女の子を探そうとする真。そして、1人に目を付ける。

「はじめまして。トオルです。こんなきれいな方が来てくれるなんて嬉しいです。よろしくお願いします。」

「あのテーブルにいるホストの方、お名前なんていうのかしら?」といきなりストレートに質問をぶつける真。

「彼ですか?悠次ですよ。彼がこの店のナンバー2です。」

「悠次ね。。」とつぶやき、悠次を見つめる真。

「一応僕がナンバー1なんですけど」とトオルが言ってみるが。。

全く聞いていない真。席を立ち、悠次のいるテーブルに行ってしまう。そして

「あなたが工藤紅子さん?」と唐突に話かける真。

「そうだけど、、誰だよ、あんた」

「JBCの鷹宮です。(名刺を差し出す)あなたのお友達の町田雛さんについてちょっとお話聞かせて欲しいんだけど」

「雛のこと?なんだよ?」

「教師と恋愛関係にあったっていうのは本当かしら?」

「湖賀先生だろ?本当だよ。別に教師とか生徒とか関係ないんじゃないの?好きならさ。」

「湖賀先生っていうのね。その先生のことで、町田さんが訴えられてるのをご存知かしら?」

「訴えられてる?雛が?誰に?」

「その先生の主治医の先生らしいわ。」

「え。主治医って?先生って病気だったの?」

「それがわからないから調べてるのよ。町田さんはそう主張してるらしいけど。。訴えを起こした医者は、町田さんが殺したって主張していて。。なので、病気が本当なら、何か証拠が欲しいのよ。」

「殺したって、、そんなことあるわけないだろっ!そういえば先生、雛が白鳥になるところを見ることができない、、とか言ってたな」

「白鳥になる。。って?それどういう意味?」

「よくわかんないけど。。それって病気で先が長くないって意味だったのかも。。でもよくわかんない」

「そうなの。。どうもありがとう」

「雛のこと助けてやってくれよ。あいつ、先生のことマジで好きだったんだよ。初恋ってやつかな。。だから、殺したなんてこと、絶対にないから」

「わかったわ。また何か思い出したら連絡してね」

「あぁ」

「悪いけど、今日はこれで失礼するわ」とすぐに帰ってしまった真を、トオルはボー然と見つめる。。
No.803■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 6
投稿時間:2003/03/27(Thu)
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「こんばんは。イブニングニュースの時間です。今日はまず初めに、今話題になっている訴訟のニュースです。

先日、日本女子医大病院の橘百合子医師が、患者である湖賀郁巳さんの生徒を訴えるという事件が起こりました。

事件は、200×年○月△日。湖賀郁巳さんがお亡くなりになったわけですが、その死因について、現在捜査を進めています。橘医師は生徒による殺害だと主張しておりますが、その生徒は病死だと主張し、双方の意見が分かれる展開となっています。

その生徒の友人の話によりますと、湖賀さんとその生徒は恋愛関係にあり、湖賀さんは病気らしい発言があったということですが、事実関係をもうしばらく追及していきたいと思います。また進展があり次第、お伝え致します。

次はお天気です。」と今日も絶好調に原稿を読む桜木恭一郎。
No.804■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 7
投稿時間:2003/03/27(Thu)
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場所は有働弁護士事務所。
皆でイブニングニュースを見ている。

ジリリリリリリーーーーン

「また、なんか嫌な予感がするな。。」と有働。

「先生、早く電話出てくださいよ〜。ものすごーく大口の依頼かもしれませんよ!」とせかす良子。

「もしもし。有働弁護士事務所です。おぉ。みっちゃん!」と、どこからともなく現れた博士が電話を受ける。

「はい、お電話代わりました。有働です。」

「神崎です。国選弁護の依頼です。ニュースはご覧になったかしら?」

「もしかして、、あの女子高生の弁護を?」

「そうよ。親がリストラされたとかで、とても普通の弁護料を払える状態ではないらしいわ。じゃ、よろしく」

「お、おねえさん。。」

切れてる。。。

「先生、また国選ですか〜?」とがっかりする良子と赤倉。
No.805■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 8
投稿時間:2003/03/27(Thu)
投稿者名:
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場所は東京拘置所。

「はじめまして。国選弁護人の有働です」
「石田です」
「赤倉です」
「イズコです」(い、いつのまに。。)

「あなたが町田雛さんですね?」と早速有働は質問を始める。

「はい。私、先生を殺してなんかいません。」

「思った通りだ。。わかりました。あなたを信用しましょう。全て正直に話してください」

「はい。よろしくお願いします。」

「まず、、湖賀郁巳さんとあなたの関係を教えてください。」

「教師と生徒です。。でも、私は先生のこと愛してました。そして先生も私のこと。。」

「なるほど。。恋愛関係だったということですね?」

「はい。正直に言います。先生の部屋に勝手に入っちゃったり、物を壊しちゃったりもしたけど。。でも、殺してなんか。。絶対してません!!」

「結構きわどいことしてるね。。まぁ、わかった。ところで先生が胃ガンだったというのは本当かな?」

「え。。胃ガン?先生が病気だったのはほんとだけど。。胃ガンじゃないです。脳腫瘍でした。」と雛が答える。

「胃ガンじゃなくて脳腫瘍?」

「はい。。最初は私、自分がそうなのかと思ってたんですけど。。で、病院に忍び込んでカルテを探したんです」

「忍び込んだって。。君は相変わらずいろんなことをしてくれるな。。」

「ごめんなさい。でもどうしても確かめたくて。。」

「で、そのカルテは見つかったのかな?」

「途中で主治医の先生に見つかっちゃって。。怒られるかと思ったんですけど、先生のカルテを見せてくれたんです。」

「主治医というのは、橘先生かな?」

「はい。」

「そして、病状は脳腫瘍だった?」

「はい。」

「おかしいな。。」

「何がですか?」

「その橘医師は、湖賀さんは胃ガンだったと主張しているんですよ。」

「え?」

「余命1年のね」

「そんな。。そんなの絶対嘘です。」

「証明できるかな?」

「証明。。。。。。。わかりません。」

「そういえば、君、いつもデジタルカメラを首から下げて持ち歩いてるって聞いたんだけど」

「はい。何かあったらすぐ撮れるように、いつも首から。。」

「そのカメラ、貸してもらってもいいかな?」

「どうぞ。。」

監視係からカメラを渡される。

「あれ。この部分、なんか傷がついてるけど。。どうしたのかな?」
No.806■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 9
投稿時間:2003/03/27(Thu)
投稿者名:
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場所は再び、怨みの門。

「あなた病気だったみたいね。」とイズコ。

「そうみたいですね。」とイマイチよくわかっていない郁巳。

「でも病状ははっきりしてないみたいだけど。。覚えてないの?」

「すみません。」

「でも彼女があなたを殺したって訴えてる医師がいるようね。」

「雛が僕を?信じられません。でも橘先生は、、僕にとってもよくしてくれました。あの先生が嘘を付くとも思えません。。わからない。。。。。。」
No.807■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 10
投稿時間:2003/03/29(Sat)
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法廷。

「まずはじめに検察側は、原告である橘百合子氏を尋問したいと思います。橘さん、あなたは亡くなられた湖賀郁巳さんの主治医でしたね?」と沢登検事。

「はい」

「病名は何ですか?」

「胃ガンです」

「うそ!」と突然雛が反応する。

「被告人は静かに。騒ぐと退廷させますよ」と裁判官。

「検察側は証拠として、湖賀郁巳さんのカルテを提出します。」と沢登はカルテを提出する。

「胃ガンというのは治る見込みは。。」と沢登は尋問を続ける。

「残念ながらそれはありません。でもあと1年くらいは生きられるはずでした。最近は体の状態も良かったですし。。さらに生きられたかもしれません。それなのに。。かわいそうに。。。」

「最近の状態は良かったんですか。急に症状が悪化するということは考えられますか?」

「それはないと思います。」

「異議あり!検察側は想像で物を言っています。」と有働が異議を申し立てる。

「異議を認めます。検察側、事実に基づいた尋問をお願いします。」と裁判官。

「失礼。。では被害者の湖賀郁巳さんは、普通の生活をしていれば、1年もしくはそれ以上生きられたはずだと、あなたは診断されたのですね?」

「はい」

「尋問を終わります。」と得意気な沢登。

「弁護側。反対尋問をどうぞ。」と裁判官。

「はい。被告人の無罪を主張します」

「おぃおぃ、またかね、国選弁護人!」と沢登。

「有働です」

「何を根拠に被告人が無罪だと主張するのかね?」

「被害者、湖賀郁巳さんは病死です。」

「被害者が病気だっだということはわかっている。でもあと1年は生きられたはずだということじゃないか。君の言っていることは強引だよ。」

「では、被告人、町田雛を尋問したいと思います。」と有働。

「あなたと被害者湖賀郁巳さんとの関係は?」

「教師と生徒です。。」と雛は小さい声で答える。

「ただの教師と生徒ですか?」

「えーっと。。私は先生のこと大好きでした。愛してました。そして先生も私のこと。。」

「あなたと湖賀さんは恋愛関係にあったと。。?」

「はい。」

「異議あり!こちらが調べたところによると、被害者と被告人は恋愛関係にあったのではなく、被告人の方が一方的に被害者に付きまとっていたと思われます。あなたは被害者である湖賀郁巳さんからとてもひどいことをされたそうですね。何やらとてもひどい嘘を付かれたとか。。そして、そのことであなたは被害者を憎んでいましたね?」と異議を申し立てたついでに、質問までしてしまう沢登。

「確かに、、最初は憎む気持ちもありました。でも、、だんだん先生が死んでしまうのは、自分が死ぬと思っていた時よりもずっとずっと怖いなって思ったんです。」

「今となっては何とでも言えますね」と全く信用しない沢登。

「さらに被告人は、被害者の後を付けてストーカーのような行為をしたり、勝手に部屋の合鍵を作ったという事実まで明らかだ。キーショップイケダ の前で「作っちゃった」と言っている被告人を目撃したという情報が入っている。正当に合鍵を作る場合、その発言は適当ではない!」と自信満々の沢登。

「どうなんですか?」と裁判官。

「すいません。勝手に作っちゃったのは悪かったと思うけど、、でもその後で先生は許してくれました。」

「それを証明できますか?」と沢登。

「それは。。」と言葉に詰まる雛。

「証明などできるはずがない。なぜならそれは湖賀さんを殺害するために用意したものだからです。終わります。」とまたしても自信満々の沢登。
No.808■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 11
投稿時間:2003/03/29(Sat)
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URL :
場所は裁判所の外。

「まずいですよ、有働先生ー。これからどうするんですか?」と心配する良子。

「ちょっと病院に行って確かめたいことがあるんだ。」と有働。

「確かめたいことって何ですか?」と赤倉が質問するが、有働は答えない。。。
No.809■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 12
投稿時間:2003/03/29(Sat)
投稿者名:
URL :
場所は日本女子医大病院。

「あの。。すみません。ちょっといいですか?」と、とりあえず近くにいた先生を呼び止める有働。

「はい。」

「私、有働と申しますが、日向女子高校の町田雛さんの弁護人でして。。日向女子高校の先生がこちらの病院にかかっていると聞いたんですが、、ちょっとお話を伺いたいのですが。」

「では、こちらへどうぞ。私は金田といいます。」

「えーっと、その先生なんですがね、胃ガンだったそうですね。余命1年の。」

「そこまでご存知なんですね。」

「その先生について教えて欲しいんですが。。生きることについて前向きだったかとか、自殺を考えそうだとか、その辺どうでした?」

「とても前向きだったと思いますよ。」

「そうですか。病院に来られる時はいつもお独りで?」

「いや。2人の時もありましたよ。」

「あ。じゃ、先生も彼女のことはご存知で?」

「ええ。まぁ。」

「先生から見て、その2人はどう見えました?彼女が彼を殺そうとするというようなことは、、考えられますか?」

「そんなことあるわけないでしょ。」

「そうですか。」

「彼が余命1年と知って結婚するなんて誰にでもできることじゃないですよ」

「結婚?2人は結婚していたんですか?」

「ええ。」

「彼女はまだ高校生ですよ。学校も親もそれを許可したんでしょうか?私にも高校生の娘がいるんですがね、私の娘だったら絶対許しませんよ、そんなこと!!」

「先生、ムキにならないでください」と暴走する有働を止める良子。

「おっと、失礼。。取り乱してしまった。。で、どうなんですか?」と冷静になった有働が質問する。

「高校生?何言ってるんですか。中村くんは秋本みどりさんと結婚したんですよ。教師同士なら何も問題ないと思いますけど。」

「ちょっと待ってください。中村くんって。。私が話しているのは、湖賀郁巳さんのことですよ。」

「なんだ、そうなの?早く言ってよー。」

「胃ガンの教師と言えば、わかるかと思うじゃないですか。。ん?その中村さんという方も日向女子高の教師なんですか?」

「そうですけど。」

「私が調べている湖賀郁巳さんも日向女子高校の教師で胃ガン。同じ学校の教師が2人も同じ病気っておかしいと思いませんか?」

「そう言われても、湖賀さんの担当は私じゃないので、よくわかりません。」

「なるほど。。わかりました。ありがとうございました。」

「それと。。今の件って、裁判で証言して頂けませんか?」

「いいですけど。。」
No.810■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 13
投稿時間:2003/03/29(Sat)
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病院からの帰り道。

「これで何とかなりそうですね」と嬉しそうな良子と赤倉。

「まあな。でももう1つ、念のために君たちに頼みたいことがあるんだが」

「何ですか?」
No.811■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 14
投稿時間:2003/03/29(Sat)
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場所は法廷。

「弁護側は日本女子医大病院の金田医師を証人として呼びたいと思います。」と有働。

「金田さん、あなたは湖賀郁巳さんをご存知ですか?」と尋問を始める有働。

「橘先生の患者さんだということくらいは。。」

「湖賀さんの病状については?」

「詳しいことは知りません。」

「そうですか。それではあなたが担当している中村秀雄さんについてお尋ねします」

「異議あり!本件とその中村秀雄という人物はなんら関係がないように思われます。弁護側は関係のない事柄を持ち出し、我々を混乱させようとしています!」とすかさず異議を申し立てる沢登。

「弁護側、その人物と本件との関連性を明らかにしてください。」と裁判長。

「それをこれから説明しますので、、続けさせてください。金田先生の担当されている中村秀雄さんの病状は何ですか?」と尋問を続ける有働。

「胃ガンです。」

「ほぉ。それでは被害者と同じ病状ということになりますね。」

「治る見込みは?」

「残念ながら。。余命1年というところです。」

「中村秀雄さんと湖賀郁巳さん。2人とも日向女子高校の教師です。同じ学校の教師が同じ病気で余命も同じ。こんなことってあるんですかね〜?」

「私は湖賀さんの病状については知らないので何とも言えませんが。。」

「ここで1つ私はある仮説を立てました。そう考えると全ての辻褄が合います。」

「何だね、それは?」と不機嫌そうな沢登。

「橘氏から証拠として提出されたカルテは、本当は中村秀雄さんのものではないですか?」

「何を言ってるんだ。話にならんね。何を根拠に!」とちょっと動揺する沢登。

「金田さんは中村秀雄さんの担当医です。金田さんには今証拠として提出されているカルテが中村秀雄さんのものなのかどうかを確認して頂きたい。それではっきりします!」

そこで、ふと金田を見ると、何やら後ろの橘医師と目で会話をしているように見えたが、、今のは錯覚なのか。。?

「あの。。金田さん、今橘さんと何か。。?」と有働は聞いてみるが。。

「いえ、何でもありません」と濁す金田。

「では、カルテを見て頂けますね?」

「は。。い。。」と言いつつ、さっきから落ち着きのない金田。

「これなんですが、、これは中村秀雄さんのカルテではありませんか?」

「いえ。。違います。」と否定する金田。

「え。。」と予想外の展開に絶句する有働。

「よく見てください。これは本当に中村秀雄さんのカルテではないんですか?」

「違います」

「そうですか。。。。。。。」

先ほどの一瞬に、橘と金田の間に何かがあったに違いないと確信するが、今さらどうすることもできない有働。

「いい加減に諦めたらどうかな?」と嬉しそうな沢登。

「どうやら、、私の思い違いだったようですね。。。ははは。。(ちょっと笑ってごまかす)では方向を変えます。被告人、町田雛は、橘医師から湖賀さんの本当のカルテを見せてもらったそうです。」

「その子にカルテを見せたことなんてないわ」と後ろから橘が口を出す。

「ないと言っているではないか。そこまで疑うということは、証拠はあるのかね、証拠は!!」と沢登は強気に出る。

「それがね。。あるんですよ。これ、何だかわかりますか?そうデジタルカメラですよ。最近の高校生は皆持ってる。これは被告人のデジタルカメラです。」

「そのカメラがどうかしたのかね?」

「この中に気になるものが映っていたんです。カルテです。これは被告人が橘医師から湖賀郁巳さんのカルテだと言って見せられたものの一部だと思われます。証拠として提出されたカルテと比べると、、別のもののようです。これはどこで撮影されたものなのですか?」

「病院の橘先生の部屋です。」と雛は答える。

「異議あり!それが橘医師の部屋で撮影されたものであるという証拠はあるのかね?」と反論する沢登。

「このカメラのこの部分を見てください。傷が付いています。」

「それがどうかしたのかね?」

「傷については被告人から説明してもらいましょう。」

「その傷はいつどのようについたものなのか説明してください。」と雛に聞く有働。

「病院で橘先生に湖賀先生のカルテを見せられて。。その内容がすごくショックで、眩暈がして、ちょっと倒れちゃったんです。その時に床に落としてしまいました。」

「そうですか。。カメラ側にこれだけの傷がついているということは、床の方にも多少の傷がついていると考えられます。病院の橘先生の部屋の床にこのカメラによって傷付けられた部分があるのかどうかを検証して頂きたい。鑑識に回せばわかることです。」

「異議あり!仮に、その写真が、病院の橘氏の部屋で撮影したものだとしましょう。しかし、そして、それが被害者のカルテだという証拠はない!」とちょっと不利になってきたので、少し抵抗してみる沢登。

「残念ながら、それは橘氏に本当のことを言って頂く以外に証明することは不可能です。そろそろ本当のことを言って頂けませんか?橘さん。」

「。。。。。。」 頑なに拒否する橘。

「だめですか。。」

ガチャ。。(扉が開く)

「先生!見つけましたよ!!」良子と赤倉がそれぞれ証人を連れて入ってくる。

「見つかったか。。」

「橘さんに答えて頂けないようなので、次に日向女子高校の教師である、太田麗子さんを証人として呼びたいと思います。あなたは、学校の給湯室で中村秀雄さんの薬を見たとおっしゃっていましたが、、それはこの薬ですか?」と麗子に尋問を始める有働。

「はい。」

「あなたはこの薬が何の薬だかご存知でしたか?」

「はい。。」

「何の薬でしたか?」

「胃ガン。。だと思います。」

「ほぉ。なぜそうわかりましたか?」

「過去に同じ薬を飲んでいる人を知っていたので。。」

「そうですか。ありがとうございました。」

「次に、上谷悠次氏を証人として呼びたいと思います。あなたは、湖賀郁巳さんが常用している薬をご存知でしたか?」と尋問を始める有働。

「あぁ。知ってたよ。」

「それはこの薬ですか?」と有働は、今、麗子に見せたものと同じものを見せる。

「いや、、違うな。。それも結構な薬だが、あいつが飲んでたのはそれじゃない。」

「そうですか。では、こちらの薬ですか?」

「あぁ。それだよ。」

「これが何の病気のための薬か、あなたは知っていますか?」

「脳腫瘍の患者が飲むやつだろ。それももうかなり末期の。」

「となると、やはり湖賀さんは胃ガンではなく脳腫瘍だということになりますね。」

「そうだよ。なんてったって最強キャラだしな。。かなわねーよ。へへへ。。有働先生よ〜。。ちゃんと証言してやったんだからさ、これが終わったら今度は俺の弁護頼むぜ。」と悠次。

「あぁ。わかってる。以上で、尋問を終わります。」と有働。

「あ。。。あなたが悪いのよ。。。あなたが。。弱いから。。妻の私ではなくあの女が。。あなたを。。。私は。。。私は。。。私の。。。。もうおしまいだわ。。。。。。。。。。。。。。。。。」と意味不明なことを叫びはじめる橘。
No.812■Re: マルチドラマ 2003 winter Scene 15
投稿時間:2003/03/29(Sat)
投稿者名:
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場所は再び怨みの門。

「良かったわね。あなたは彼女に殺されたわけではなかった。脳腫瘍だったのね。」とイズコ。

「はい。」

「で、そろそろ選択をしてもらわないといけないんだけど。。どうする?」

「天国へ行って、再生を待ちます。彼女と約束したんです。また会おうって。。それがどんなに天文学的な確率だとしても。」と郁巳は明るく答える。

「そう。わかったわ。お生きなさい。。」イズコは天国への扉を指差す。

郁巳は天国へ旅立って行った。
No.813■Re: マルチドラマ 2003 winter Last Scene
投稿時間:2003/03/29(Sat)
投稿者名:
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場所はひまわり保育園。

「今日もいい天気だね〜。外で遊ぼう〜!」と今日も元気な太陽先生。

「はーい!」と喜び、外へ駆け出して行く子供たち。でも教室の中には2人の子供が。。

「郁生くんと雛子ちゃんも外で遊ぼうよ〜」という太陽の呼びかけにも応じず、雛子は一生懸命何かを作っている。

「雛子ちゃん、それ何を作ってるのかな〜?」

「てるてるー。」

「てるてる坊主作ってるのか〜。でも、今日は、よく晴れてるから、てるてる坊主は必要ないよー。外で遊ぼう!」

「や!」

なかなか言うことを聞かない雛子に困った太陽。

一方、郁生の方は、ピラミッド型のパズルに夢中。太陽は自分が解けないパズルを郁生があっさり解いてしまうので、いつも感心しているのだが、パズルにばかり夢中になるのはちょっと困っている様子。

「今日は、土管の公園に行くんだけどな〜。ブランコもあって、すべり台もあって、赤と青と黄色の土管があるんだよ〜〜。」とつぶやいてみる太陽。

「土管。。」

この言葉に反応する2人。
もちろん、土管の公園に行くのはこの日が初めて。
郁生も雛子も行ったことがあるわけでもないのに。。

「行こう、雛子ちゃん」

「うん」

そして、仲良く手をつないで公園に行こうとする二人。つないでいないもう片方の郁生の手にはピラミッドのパズル、雛子の手にはてるてるが握られて。。

= 完 =
No.814■Re: マルチドラマ 2003 winter 最後に。。
投稿時間:2003/03/29(Sat)
投稿者名:
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最後まで読んでくださってありがとうございます。
突っ込みどころ満載だとは思いますが、大目に見てください。(^^;

本当〜は、「禁断の愛」をテーマにハナコに恋愛コラムを書かせようか?とか、郁巳と秀雄に中華料理を食べに行かせて「そんなに待てるか!」ってやらせようか?とか、いろいろ考えたんですけど。。(^^;あまりにも長くなりそうだったので、やめました。今でも十分長いって?(笑)

ここまでの大作を書いたのは初めてかな。。?(^^;

要素使用ドラマ
「高校教師」「僕の生きる道」「スカイハイ」
「美女か野獣」「最後の弁護人」「恋は戦い」
「よい子の味方」

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